愛知デザインツアー② 「暮らすひと暮らすところ」を訪ねて犬山に
愛知デザインツアー後半は、最近お知り合いになった戸田祐希利さんの事務所「暮らすひと暮らすところ」について。
戸田さんの事務所は名古屋市内から名鉄で30分ほど行った犬山という町にある。
犬山は織田家によって建てられた「犬山城」の城下町で、当時の面影を残すこざっぱりとした町並みが印象的。有松よりも、もう少し観光地のような雰囲気があるように感じた。
城下町の通りを下ったところにある商店街の一角に、「暮らすひと暮らすところ」の事務所がある。
古いビルの1Fに素敵なレストラン、2Fにギャラリー(訪れた日は休みでしたが)、3Fに事務所という区分けになっており、その空間の魅力にすっかりやられてしまった。とにかく写真を見てください!
1F入り口
階段は3Fまで吹き抜けになっている
この建物はもともと町の家具店が入っており、1-2Fをレストランのオーナーが改装し、3Fに戸田さんが後から入ったのだという。
作業スペースに加えて、仕事で作ったものを見られるショールーム、撮影ができるスタジオ空間もあり、なんでもできそうな空間。すごい…!
ショールームスペースの奥に戸田さんの机がある
事務所にお邪魔し、戸田さんのお仕事についてお話をお伺いすることもできた。
上の写真に写っているのは、琵琶湖の固有種「イケチョウガイ」の殻を使ったボタン。イケチョウガイはアコヤ貝のように真珠を取るために養殖される貝なのだが、ものすごく希少で手に入りにくい。その殻はもともとボタンを作るのに使われていたが、生産量はとても少ない。そこで、ボタンを作るために切り抜かれた余白の部分に穴を開け、ランダムな形状のボタンを新たに作ったのだという。
ボタンはジュエリーのように一つ一つ、金の針と一緒に包装されている。「ボタン」という形を取ったプロダクトではあるが、その背後にある物語まで含めて丁寧に綴られた仕事なのだと感じた。
初めてお会いしたときにもお伺いしたのだが、戸田さんご自身は「自分をデザイナーだと思って働いているのではない」という。
自分が何かものを作る、企画する、という考え方よりも、工場や産地の作り手と一緒になってその思いを手助けする、調整するという考え方で仕事をしているとお話ししていた。
魅力的なものをたくさん生み出している実績がありながら、「これは自分の作品です!」というのではなく、あくまで生産者に寄り添いながら働く、手伝うという姿勢を感じた。控えめでありつつ、確かな仕事を積み重ねているのはとても格好いい…!
僕はわりと出たがり、というか自分本位で考えてしまうことがあるので、自分の姿勢を考えてみるきっかけを頂いたような気がします。
事務所でお話をお伺いした後、犬山城にもご案内頂いた。
天守閣は当時の木組みが残っており、プロポーションもなんだか可愛らしい。さすが城!というような太い梁と柱を見ながら階段を上がっていくと、木曽川を望むてっぺんの部屋まで登ることができる。
この日は曇りだったが、晴れの日の木曽川は太陽の光を受けてとても美しいという。
犬山は温泉もよいらしい。城下町も少しだけしか見られていないので、次回来たときには温泉につかってゆっくりするのも良いなあ。。
戸田さん、色々とお話いただきありがとうございました!