サウンドプロダクト8 情報の解像度
情報が詰まっていて、美しいだけではなく伝達メディアとしても優れている絵に憧れます。
サウンドプロダクトを進める上で描くスケッチにおいても、見るほどにいろいろな情報が伝わるような絵をめざしています。
ものの形や質感だけでなく、絵に乗せられる情報はいろいろあります。絵の手ざわり、ストーリー、作者の心情や時代の空気などなど。ひとつの種の絵を見ただけで、その植物が生えている森が想像できるくらいの情報量を絵に乗せることができたらどんなにすばらしいか。
そうした、「情報大盛りの絵」で特に好きなものをピックアップしました。
・こうの史代の漫画
上記したような時代物の作品の場合、圧倒的な量の資料を参照し、それを元に建物の造作や服装、舞台などをデザインしているよう。すっと流してしまうようなシーンでも、背景や草木の一本に至るまで名前のあるものとして丁寧に描いていて、ストーリーと関係ない部分でも感動できます。また現代ものでは、おじいちゃんの家事奮闘漫画「さんさん録」の家事解説シーンなどにその並々ならぬ観察眼を垣間見られます。
・松岡達英の絵本
・妹尾河童のイラスト
舞台美術家でありながら、多数の著書を残した作家でもある妹尾河童さん。小説「少年H」が有名ですが、この方の特技はむしろ絵だと思います。イラストエッセイ集「河童のスケッチブック」や「河童が覗いた◯◯」シリーズなどで、その特異なイラストレーションを見ることができます。
中でもすごいのが、部屋の屋根を外して上から覗いたような「俯瞰図」。部屋を測量し、細かに写真を撮って描かれる詳細な絵は、もはやイラストの域を超えています。例えるなら画面全体に作者の好奇心が溢れている、楽しい図面です。旅行で宿に着いたらさっそく部屋を測り出すらしいのですが、なんというかそこまでいくと変態ですね。
一緒にサウンドプロダクトをやってる草野くんの絵も、いつも強い物語性があって面白いです。今あげてるイメージボードからも、いろんなストーリーを想像してしまう。