年末年始の読書週間
年末と年始にまとまった休みがとれたので、まとめて何冊か読書をした。
お金の扱い方が苦手なので、その分野の本を中心に選んで、自分にしては結構なハイペースで読んだ。こんな時でないと「読むぞ!」という気にならないものだし。
人工知能って騒がれてるけど、実際どうなのよと思って読んでみた本。
帯の刺激的な言葉だけを見るとほんとかよと思うが、汎用(ある分野だけに特化したものではなくなんでもできる)人工知能が完成したら人間が職を追われる というのは、各国の学者たちが予測している「本気でありえる未来」らしい。しかも2030年や45年っていったら、僕まだ生きてるもんな…
機械がとても働くようになったら当然人件費のかかる人間はクビになってお金がもらえなくなるので、そうなる前に人間が生き残れるようにベーシックインカムを採用したらどうかという提案もあり、面白い。
筆者によると、人間の脳の回路を完全にコピーする人工知能(全脳エミュレーションというらしい)ができちゃったら、感情やらアートもぜんぶ再現可能になって人間はお払い箱になるようだ。なのでそれは開発するのをやめてもらって、人間の脳の仕組みを真似して回路を作る人工知能(全脳アーキテクチャ)を開発してもらうのが良いとのこと。
まじかよ…と思うのだけれど、一冊読むとその説得力にうなずかざるを得ない。
今話題のニューラルネットワークやらディープラーニングといった言葉についても簡潔に説明があり、特に前半はSFものとしても楽しく読めます。
ものすごくエキサイティング。超おすすめです。
「アメリカ人のベテラン弁護士が、13歳の息子におカネと投資と市場についてわかりやすく説明するために書かれた本」(訳者あとがきより)。
28歳の大人にとってもとても役に立つ本です。(僕が分かってなさすぎなのかもだけど)時価総額とか株式公開とか、知っておいたほうがいいんだろうけどよく分かってなかった言葉について基本的な理解を得られます。また、自分の会社の売上・利益・株価、自分の国のGDPなどを「なぜ分かっておいたほうがいいのか」についても教えてくれる。アホにとってはありがたい…!
度々強調されるのは、「自分が得るお金より多く使っては決してならない」ということで、、これって当たり前のようだけど一番大事なことだ。この本は、行き着くところまで行ってしまって破産したときには何が起こるかも教えてくれるから、そこもきちんと読んでおくと良いです。怖いよ。
読み終わって早速内容をどんどん忘れてしまっているので、復習しようと思います。
TRAVELLIUMでご一緒したアライヨウコさんに紹介してもらったマーケティングの本。
SNSを始めとしたネットを活用した販売+プロモーションの事例集としてとっても面白い。最近そこいらじゅうで聞くことづくり・場作り・体験づくりのトピックが多い。ベントレーがiPhoneを使って撮影したCMが話題になって〜という話を見て、それにつかわれたというiPhone用のレンズ欲しくなっちゃったり(本筋とはまるで関係ない)
ユーザーの価値観が変化してきているので、売る側もそれに対応して変化することでうまいこと生き残っていけますよということが繰り返し言われていたが、自分で取材したことではないようなので少し物足りない印象もありました。
「お金」って、何だろう? 僕らはいつまで「円」を使い続けるのか? (光文社新書)
- 作者: 山形浩生,岡田斗司夫 FREEex
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/11/13
- メディア: 新書
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夏の深圳ツアーでご一緒していた山形浩生さんの対談本。
経済とは、お金とはこういうものなんですよという導入部分が良かった。なぜ一つの国に一つの貨幣があるの?とか、お金なんてなくても大丈夫なんじゃないの?という問いに答えてくれるので、ふむふむとうなずきつつ読めました。途中、岡田斗司夫さんの個人的お金論(カリスマ貨幣みたいな)は正直よくわからないところも。
こういう本を読めば読むほど自分の知らなさ加減が分かる。一回読んだだけだとすぐ忘れてしまうし…また読もう。
最近何回か耳にして気になっていた言葉を調べてみようと思って読んだ本。
「反知性主義」は、「知性なんていらない!」という考えかたではなく、「本ばっか読んでるインテリの頭の中よりも現場にこそ真理があるだろ!」という考え方…ということでよいのだろうか。アメリカでキリスト教を布教する「リバイバル」という集会の宣教師たちが育ててきた、反知性主義というものを歴史を追いながら説明してくれる。宣教師が「メソポタミア…メソポタミア…」と抑揚をつけて何回も繰り返すことで大入りの観衆を感涙させたというトピックが面白かった。プレゼン上手すぎだろ!
プロダクトデザインもどちらかというと現場主義のジャンルなので、反知性主義という言葉のポジティブな面については共感しながら読むことができた。でも、先述のように、工夫のしかたによって中身のない言葉だけで人を揺り動かすことが出来てしまうような危険性(まさにトランプぽいですね)もある。
高橋源一郎さんが朝日新聞に書いていたコラム「論壇時評」をまとめた本。
震災が起きてからすぐのコラムより時系列に置かれているので、 忘れかけていた出来事を振り返ることができる。
新聞に載る文章なだけあって語り口は穏やかで分かりやすい。なんと表現したらよいのかわからないけれど、独特の優しさが感じられる良い本だと思う。
最近ってなんとなくみんな攻撃的で、自分の意見とちがうものをめちゃくちゃに叩いたり、見て見ぬふりをして無視を決め込んだりする。けれどそういう態度を良しとせず、真摯にものごとを見ていこうとする姿勢が文章からにじみ出ている。勉強になります。
関西に戻ってきた途端風邪引いたので、ことしは知的体力と物理的体力をちょっとでも養えたらよいなと思います。