ふしぎデザインブログ

デザイン事務所「ふしぎデザイン」の仕事やメイキングについて書くブログです。

魯山人

古本発掘シリーズ 今日は1988年に京都国立近代美術館で開催された、「北大路魯山人展」のカタログです。

魯山人、という名前は知っていましたが、具体的にどんな人か知らずにいました。
カタログによると、不遇の少年時代を過ごしながらも、書の腕前を認められ次第にその名を広げてゆき、後には書のみならず美食、陶芸、絵画でも名を馳せた総合芸術家だったようです。1883年生まれ、1959年没。

















魯山人は食に大変なこだわりがあったようです。プロデュースする会員制の料亭「美食倶楽部」で、文化人たちに自作の器で料理をふるまうなど、食を通して自らの美意識を存分に発揮してゆきます。
上に挙げたものはほんの一部ですが、絵付けの色使いや器のフォルムに、奔放な数寄者のセンスが感じられます。悪く言えば道楽の器、悪趣味ぎりぎり。









そしてこの人、なんというか非常に態度がでかく、自分の気に入らない物はどんどん攻撃するタイプの人間だったようで、かなり敵が多かったようです。あの柳宗悦とも一時交流があったそうですが、喧嘩別れしてしまったそう。「美味しんぼ」の海原雄山のモデルにもなっているとかいないとか。

最後にカタログより印象的なエピソードを紹介します。
”…物心がついた魯山人のこの世における初めての印象は、(中略)五月の陽光の中で群れ咲いていた山つつじの真赤な色であったという。そしてその折に受けた「美しい」という強烈な感銘は、房次郎にとってその時「自分はこのような美しいものを生涯追い求めて行きたい」という願望になり…”

自分の中に、「美」の優先順位をぶっちぎりで一番に持っている人なんてそうそういないと思いますが、魯山人はそんな希有な人だったのだと思います。